非軍事化、開発と生物多様性－アマドール・エルナンデスのギセッペ・ベルディ ミゲル・アンヘル・ガルシア・アギーレ |
| 〈解説〉 11月６・７日、ラカンドン密林のアマドール・エルナンデスにおいて、「非軍事化、先住民族、開発と生物多様性」と題するフォーラムがARIC独立民主派の呼び掛けによって開催された。この村は、サパティスタの反乱行政地区「マヤ先住民自治地区」の役場がある村である。1999年８月８日、住民の同意をえない道路建設強行に反対する村人の抗議行動から道路工事関係者を保護するという名目で、連邦軍がこの村に派遣された。 本文中で言及されているプルサル－サビア・グループは、メヒコ北部のモンテレーに本拠をおくコンソシアムである。農業、農業バイオテクノロジー、食品加工・流通などが重要な投資部門となっている。1992年からは、チアパス州にも資本を投入しはじめ、各地で諸種の事業を展開している。ラカンドン密林地域でも、エコツーリズムや持続的開発を旗印とするムンド・マヤ計画といった国家的地域開発計画の枠組みで、ふたつの計画を推進している。モンテス・アスレス自然保護区北部のオコタル湖群生物基地と、マルケス・デ・コミージャスのレフォルマ・アグラリア・エヒードの２千haのエコツーリズム・センターである。密林地区でもっとも生物多様性に富むと言われるオコタル湖群に設置された前者は、ラカンドン共同体地区の新設入植エヒードであるヌエバ・パレスティナの住民の運営参加が強調されている。後者では、金剛インコの保護が中心事業とされている。これ以外にも、傘下の森林開発会社はチアパス、タバスコ、カンペチェ州などで、30万haのユーカリ樹の植林事業を展開している。 |
〈本文〉 「われわれの生活は永遠に破壊され、暗い闇夜の状態におかれたまま、何世紀もが経過した。この災難はいつ終わるのか？一日ごとに状況は複雑になっていく。この災難はどこで始まり、どこで終わるのか？ この言葉は、軍キャンプの正面に釘で打ち付けられた粗末な木の板に書かれているテクストである。 アマドール・エルナンデス・エヒードはラカンドン密林の中心にあるモンテス・アスレス自然保護統合地区の西側の入り口に位置している。この場所において、去る11月６・７日、集団権益農村連盟－チアパス州エヒード組合・農村生産農業協同組合連合独立民主派（ARIC-I）に属するエヒードの代表者である 600名を超すツェルタル、ツォツイル、チョル、トホラバルの人々が参集した。それは「非軍事化、先住民族、開発と生物多様性」と銘打ったフォーラムを開催するためだった。 10ほどの非政府組織（環境保護運動、人権運動）や社会組織の代表、ならびに次期州知事パブロ・サラサールの代理人１名も参加するなかで、これらのマヤの農民は、共和国大統領にビセンテ・フォックス、州知事にサラサール・メンディグチアが間もなく就任するという展望のなかで、経済・環境・政治・社会・文化をめぐる現在の状況について、みんなで検討し、分析し、討論した。 不正、抑圧、弾圧、搾取、略奪、差別、人種主義によって構造的に生み出される犠牲者たちは、急速に拡張している軍事化によって、現在、ますます脅かされている。憲法、休戦協定、法律や合意を侵害する形で行われる軍事化は、EZLNに対する包囲網をますます狭めている。どうみても、この軍事化は当該地域に存在する価値のある天然資源（石油、ウラン、水資源、とりわけ生物多様性など）の独占に関心をもっている多国籍企業の利害を守るためのものと思われる。こうした多国籍企業のひとつは、アルフォンソ・ロモ（ビセンテ・フォックスの私的顧問）が所有する「サビア（プルサール）」である。その経営陣にはペドロ・アスペ・アルメジャ［サリナス政権の大蔵大臣］が加わっている。この企業は、環境省、北米の財団である保護インターナショナル、UNAMの一部の「科学者」、生物学者や生態学者などの全面的支援や協力によって、何年間もモンテス・アスレスで生物調査を実施してきた。この生物学調査は、世界規模で独占的な特許取得と商品化ができる有望な遺伝子・生化学資源を洗練された実験室において発見するために、生物多様性に富んだ標本の調査を行うことにほかならない。 このうな状況に対して、アマドール・エルナンデスに参集したエヒードの代表者は、平和的であるが、力強い以下のような要求を行ったのである。 ① 次期大統領ビセンテ・フォックス・ケサーダ学士に要求する。われわれの共同体からの 軍部隊を即時撤退させ、われわれに対する挑発でしかない10月18日付けのアマドール・ エルナンデス・エヒードの土地収用の大統領布告を撤回し、軍要員を削減すると同時に 共同体の開発プロジェクトに向けられる予算も削減せよ。 フォーラムの閉会式として、600
名以上の参加者は、百人を越す少年や少女たちと一緒になって、７名の「トゥウネル」（知恵ある長老たち）を肩に担ぎながら、軍のキャンプ地まで１キロ半の行進を行った。軍キャンプの前で、彼らは宗教的・文化的儀式を挙行した。その儀式において、冒頭に紹介した文章の書いてある木の板を打ち付け、コパールを燃やし、祈りを捧げ、４本のセイバの苗を植え付けた。一本ずつを東西南北の４方向に植えることで、その土地区画が彼らにとって聖なる場所であることを宣言したのである。
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