参加者に向けた歓迎の挨拶はダビ司令官によって行なわれた。

ついで、以下の順序で司令官たちのスピーチが行なわれた。
１ ： ロサリンダ司令官 − EZLN支持基盤組織の同志への挨拶。
２ ： ダビ司令官 − 非サパティスタの先住民の仲間への挨拶。
３ ： マルコス副司令官（録音） − 善き統治評議会、サパティスタ叛乱自治地区、市民社会への挨拶。
４ ： エステル司令官 − メキシコの先住民族へのメッセージ。
５ ： オマール司令官 − 若者へのメッセージ。
６ ： フィデリア司令官 − メキシコと全世界の女性の仲間へのメッセージ。
７ ： タチョ司令官 − メキシコの農民へのメッセージ。
８ ： ブルースリー司令官 − ティフアナ・ラレアリダー計画。
９ ： セベデオ司令官 − カンクンでの世界貿易機関会議への抵抗の呼びかけ。

市民社会への感謝とお別れの挨拶は、やはりダビ司令官によって行なわれ、EZLNの行なっている善いことと悪いことを理解し、お互いの経験や夢を語るため、これからも訪問を続けることが要請された。

以下重要と思われるものについて簡単に説明したい。

ダビ司令官（２）

非サパティスタの先住民に対して自分たちの意見を強制することはしないので、彼らの側も、サパティスタの共同体、自治地区とその当局者、そして善き統治評議会に敵対しないよう、呼びかけている。ただし、政党や準軍事組織によってサパティスタ側が攻撃された場合は、共同体を防衛する権限を行使するとしている。そして、８月９日から、道路や橋梁に設置されたすべてのサパティスタの検問所を撤去し、叛乱地区内での個人に対する課税措置を廃止することを明らかにした。違反行為は善き統治評議会に通報するよう求めている。ただし木材、麻薬、武器の輸送は全面的に禁止する。これまでどおり、先住民女性の要望に基づき、酒類の共同体への持ち込みも厳罰に処する。

マルコス叛乱副司令官（３）

巻貝と善き統治評議会の設置にいたる経緯を説明する。それらが正式の発足をした本日をもって、７月から務めてきた30の自治地区協議会の広報官の職務は終了する。今日からはEZLNの民兵部隊が統治業務を担当することはなくなる。EZLNはサパティスタの共同体を悪しき政府、準軍事組織などから守ると言う基本的任務をこれからも遂行する。善き統治評議会、サパティスタ叛乱自治地区は、国内外の市民社会の期待に応えよい見本となってほしい。

エステル司令官（４）

政党によって先住民の権利と文化に関する法律が反故にされたことを踏まえ、我々は自らの手で、サンアンドレス合意を実行に移していくよう、国内のすべての先住民に呼びかける。自分たちの自治を構築するために、女性の仲間も積極的に参加してほしい。

オマール司令官（５）

若い世代は正当な教育や就労の機会を奪われている。グローバル化を推進する政府を信用してはならない。政府やその手先は、権威への服従と引き換えにしか、機会を提供しない。若者は金や役職を求めてはならない。我々若い世代は、あらゆる場所で、自らの手で組織化できることを示さねばならない。

フェデリア司令官（６）

今なおメキシコの都市農村で女性は虐待され、蔑まれ、搾取され、役に立たないと言われ、権利を認めてもらっていない。あるがままの女性として敬意が払われることを義務化するよう要求する。

タチョ司令官（７）

エヒード農地の自由売買を認めたサリナス政権の憲法27条改悪によって、生活の糧である母なる大地を奪われることが加速化した。北米自由貿易協定発足以降、農産物の買い取り価格は低く抑えられ、農民の生活状況はさらに悲惨なものとなっている。自然災害に対しても十分対抗できる手段を我々は有している。こうした事態に対して無策で、旧態依然の政策を継続するフォックス政権に、我々は何も期待しない。自らの手で土地を守りための組織化を推進し、よりよい生活を獲得するため、農民は共同して戦うべきである。

ブルースリー司令官（８）

プエブラ・パナマ計画に対抗するティフアナ・ラレアリダー計画は七つの合意と要求からなる。
合意事項
１ ： 社会組織の自治と独立を相互に尊重する。
２ ： それぞれのやり方で自主管理と自己統治の形態を推進する。
３ ： 悪しき政府と政党に対して市民の平和的な叛乱と抵抗を推進する。
４ ： 攻撃された人には無条件で連帯する。
５ ： 共同体間の基本物資流通システムを構築し、国内の様々な場所で基本物資の消費を推進する。
６ ： 民族主権の防衛、石油、電力、天然資源の民営化に反対するための共同戦線を構築する。
７ ： 情報文化のネットワークを創り、マスコミには正確で偏りのない情報を流すよう要求する。地方情報メデイアを創設し、地域や国内のネットワークを構築し文化の防衛と育成に当たる。
七つの要求事項は、すべての人に、尊厳のある労働と正当な賃金、人間らしい住居、公衆衛生と無償の医療、廉価な食料と衣料を保証し、子供と若者のための無償の非宗教的教育を行ない、女性・子供・老人の尊厳への敬意を払うこと、となっている。

セベデオ司令官（９）

自由貿易協定のグローバル化、世界貿易機関（WTO）、アメリカ大陸自由貿易連合は、それぞれの国の財産、主権、文化を絶滅の危機にまで追い込んでいる。米英の占領軍による支配に抵抗するイラク人民、困難な状況に置かれているバスク人民、フランスのラルザックの集会に結集している農民、アルゼンチンの人民、米国の攻撃に抵抗するキューバ人民、経済的欲望によって推進された反対している合州国人民、そして米国で出稼ぎ労働をしているメキシコ人などに連帯の挨拶を送る。
９月にカンクンで開催される閣僚会議に反対する形で組織される集会、１−７日の代替的なメディアや技術に関する集会、８−９日の農民フォーム、９日のWTO反対集会などにEZLNも参加したい。