| 一七 鳥だった人間 |
| われわれの大地の先住民は語っている。 はるか大昔、人間は人間ではなかった。いろんな色をもち、多くの唄を歌い、空を高く飛ぶ鳥だった。この鳥は多くのことをした。 例えば、この世界にある様々なものを手にして、自分の体にある色で塗った鳥がいた。最初の世界は灰色だったからである。色をこの世界に贈ったのはその鳥だった。 また、あらゆる場所で歌った鳥がいたという。歌が巧かったので、その鳥は他の鳥に変身し、あちこち飛びまわりながら、唄を生み出す唄を歌った。最初の世界は口がきけず喋れなかったからである。音楽を贈ったのはこの鳥だった。 また、道を作るためにあちこち歩きまわり、誰一人として方向や目的地を見失わないように、道に変身した鳥もいた。最初の世界は目的地も方向も持たなかったからである。 別の鳥は沈黙を生みだし、沈黙を破った。彼らが音と言葉を与えてくれた。最初の世界には、音も沈黙もなく、騒音しかなかったからである。 世界を色で塗り、道を作り、沈黙と音を定めながら、この鳥たちは人間になった。その鳥たちが世界を塗った何千もの色を見るため、方向と目的地を持った道を歩むため、沈黙を語り、聞くため、考え、感じるために音と言葉を生きるためである。 われわれの最古老によれば、言葉は生きる音であり、あふれる騒音ではない。 仲間の皆さん（プエブラ州テワカンの集会参加者）。われわれは先住民である。先住民はいったい誰なのかと多くの人に尋ねられることがある。
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