井乃上かおるさんのメッセージ
五年前にアルゼンチンのフォルクローレと出会い、アルゼンチンでは２５年前に軍事政権下で、膨大な数の一般市民が行方不明になっていることを知りました。三年前に現地へ行き、生き残った方や、行方不明になっている人たちのお母さんから話を聞き、コンサートや報告会の機会のある毎にこの事実を伝えています。
７ ６年から７年間のあいだに行方不明になった人、およそ３万−２６万人。そのほとんどが１４才から２６才までの若者でした。当時、アルゼンチンは内戦状態にはなく、平時に突然一般市民に対して行われた国家テロでした。
子供達も誘拐され、収容所で生まれた乳児とともに国内外に売買されています。現在にいたるまで、これらの行方不明者の行方は判らないまま、誘拐、殺害を行った者に対する訴追も、恩赦法のためにできないままになっています。また、行方不明者の中には１４人の日系人も含まれていますが、日本政府の支援も受けられない状態で放置されています。
もはや２５年前の出来事であり、アルゼンチンの内政にかんすることですから、私たちが、今実際に出来ることは非常に限られていますが、史上、類を見ないこの人権侵害を「消えない歴史」として私たちの認識の中に記し、日本であまりにも知られていないこの事実を、一人でも多くの方に、特に子供を持つお母さんたちに知っていただきたいと思っています。
また、我が国で、軍隊の是非が問われている今、国家暴力の実態を知っていただき、軍事力が国内に対して発動されることの危険性を問うていきたいと思っています。
人権団体に限らず、あらゆる市民団体に、また一般のお母さんたちのところに出向き、報告活動を行って行きたいと思います。
また、子供を持っておられるお母さん、おばあさんに署名をいただいて、アルゼンチンの行方不明者家族の会である「五月広場の母の会」「祖母の会」にお送りして、子供を持つ母親達の連帯が築けないかとも考えています。
どうか一人でも多くの方に、報告の機会がいただけますよう、よろしくお願いいたします。
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