一、
自治行政地区や善き統治評議会が告発してきたが、政府が実施している麻薬取引業者撲滅キャンペーンなるものは茶番劇でしかない。それは、カルデロン・イノホサ氏を権力の座につけたキャンペーンと同じたぐいのものである。
政府側行政自治区では、盗難車両取引業者、麻薬の栽培・取扱業者が当局者に就任していることが隠蔽されている。そのことは誰もが知っている周知の事実である。マリフアナ畑を破壊するために派遣された連邦軍は、成長したマリフアナだけを破壊し、若芽は残しておく。その場所に戻り、何度も、サパティスタ人民を威嚇する意図から、そうしたことが繰り返されている。さらに、当局者たちはチアパス州の地理にまったく疎く、マリフアナ畑を破壊した場所がサパティスタの領域にあったと吹聴する。それらの場所は、PRIやPRDに属する当局者が統治し、彼らの追従者が居住する土地である。そのことは、誰もが知っている。EZLNは創設以来、麻薬の栽培、取引、使用（アルコール飲料の流通と使用も同様）を禁じてきた。そのような措置は、自治行政地区の文民当局者も承認している。
ルイス・H・アルバレス氏は、フォックス政権では古臭くて無用の和平全権委員を務め、カルデロン・イノホサ政権では「先住民対策」の官僚となっている。その彼は、EZLNは力を失い、消滅しており、過去の問題でしかないと、何度となく言明してきた。だが、チアパス州の軍事要員の数は減らず、むしろ増加している。我々が存在せず、我々が「過去の問題」であり、我々に力がないというのであれば、どういう理由で軍事化を継続し、セディージョ大統領とアルボレス知事代行の時のような準軍事組織の再強化を目論んでいるのか？ 麻薬取引業者や非合法車輌の摘発作戦は、最初から不相応な形で展開してきたチアパスの農村部の軍事化をさらに進展させるための口実である。
チアパスで犯罪と見なされるのは、サパティスタ、人権活動家、環境保護活動家であることである。すなわち、森を保護管理すること、麻薬取引や貴重材木取引を罰し、阻止すること、盗難車輌の流通を告発すること、教育・健康・住宅・商品流通プログラムで先住民共同体の生活状況を改善することである。一方、麻薬取引、森林の伐採、貴重木材の取引、盗難車輌の売買、死の脅迫、共同体のさらなる貧困化を進めている連中は、軍隊や警察の幹部、下院議員、行政地区首長、あるいは連邦や州の官僚にほかならない。

二、
連邦政府、州政府、地方自治体当局は、今度は「先住民組織」を偽装した新しい準軍事組織グループを用意している。OPDDICとかOPDIC (先住民・農民の権利防衛組織)と呼ばれているものはその一例である 。
いわゆるOPDDICはペドロ・チュリン氏が統率する組織である。彼はPRI派の人物で、誰もが知っている準軍事組織の推進者である。準軍事組織（代表的なものに反サパティスタ革命的先住民運動MIRAがある）は当局の財政援助を受け、連邦軍に訓練され、武器供与を受けている。ペドロ・チュリン氏は、「クロケッタ」・アルボレス・ギジェン知事代行のもとで悪事に手を染め、それ以降、歴代州政府や選挙政党と共犯関係を築いてきた。
先頃、ペドロ・チュリン氏と彼の徒党のメンバーは、サパティスタ支持基盤との衝突を挑発するため、武器の保有と使用の許可を政府関係機関から取りつけたと宣言した。この宣言の目的は、先住民のあいだで衝突や対立があるというイメージを作りだし、連邦軍を大量に動員した介入を正当化することだった。
OPDDICとペドロ・チュリン氏は、密林を破壊している企業と多額の契約を結び、木材伐採や貴重木材の売買を積極的に行なっている。この契約の便宜を受けるの、彼やOPDDICの他の指導者だけである。OPDDIC下部組織には僅かばかりの金しか渡されない。
さらにOPDDICは犯罪組織でもある。EZLNの調査では、OPDDICは、去年11月、ビエホ・ベラスコ・スアレス共同体で起きた先住民（当初、間違ってEZLN支持基盤組織と認定）殺害の直接の責任者である。犯人たちは、政府との関係のお陰で処罰されていない。
同時に、チアパス州北部の準軍事組織「平和と正義」の歩みをなぞるように、OPDDICは、チアパス州で人権や環境の防衛に携わっている非政府組織メンバーに対して、死の脅迫を行なってきた。非政府組織の環境保護団体である「南東部人民の木」、バルトロメ・デ・ラス・カサス師人権委員会、ロレンソ・デ・ラ・ナーダ人権委員会などが、脅迫の対象となっている。OPDDICは当局の介入がないことを計算に入れ、これらの組織のメンバーに露骨な脅迫を行なってきた。
最近も、OPDDICの指導部は、幹部連中の署名入りの書簡を送っている。その書簡で、彼らの準軍事組織の徒党に参加せず、木材の伐採を認可しない場合、家族全員を強制退去させ、攻撃するという露骨な脅迫を行なっている。

三、
OPDDIC、ペドロ・チュリン氏、ならびに政府関係者に我々は通告する。我々の人民を防衛し、ラカンドン密林の樹木や自然を保護するため、貴重木材の伐採や売買、麻薬の栽培・取引・消費を禁じている先住民法を遵守する用意は十分にできている。
この状況で、「先住民同士の衝突」と偽装し、カルデロン氏の軍事主義の姿勢に庇護され、戦争の再開を準備しているというなら、我々の側も用意は十分できていると通告する。
「別のキャンペーン」の政治プロジェクトを阻止しようと考えているのなら、それは間違っていると言いたい。 去年一年間、なかば戦争状態におかれながら、我々の国を真の意味で根底的に変革する市民の手による平和的な努力のために、我々は準備してきた。
その計画で、サパティスタの先住民共同体の殲滅が成功し、セディージョ政権とフォックスの政権の下で加速したラカンドン密林の破壊と略奪に青信号が出せると計算しているかもしれない。そうなら、その計画に抵抗する準備をしていることを通告しておきたい。
我々の血を流してでも、我々の母なる大地のため生命を取り戻す。我々の血で、我々は大地を護るだろう。いくら多くの兵士、警察官、準軍事組織のメンバーが来ても構わない。自らの自由や生命を犠牲に闘ってきた我々の死者を護り慈しむ大地を我々は大切にする。

アテンコに自由と正義を！オアハカに自由と正義を！
民主主義を！自由を！正義を！

メキシコ南東部の山中から。
CCRI−CG・EZLN、叛乱副司令官マルコス。メキシコ、2007年2月。