私の最初の言葉は、EZLN同志だけに向けたものである。
　（ツォツィル語での発言）
EZLN支持基盤組織、地区・地域責任者、自治地区当局者、民兵、戦闘員、軍将校、CCRI-CG・EZLN司令官の皆さん。
　(ツォツィル語での発言)
これが、皆さん方全員、EZLNの老若男女、支持基盤組織、地区・地域責任者、自治地区当局者、民兵、戦闘員、軍将校、CCRI-CG・EZLN司令官の皆さんへの、我々のささやかな言葉である。

第6ラカンドン密林宣言の言葉を遂行するため、我々は歩み出す。私には最初に出発する役割が割当てられている。その目的は、我々が歩むことになる道がどのようなものかを観察し、危険の有無を確かめるためである。同志ではあるが別の様式をもつ人々の顔や言葉を知るためである。我々サパティスタの戦いをメキシコという我々の国の農村や都市の労働者の戦いと合流させるためである。
私に何か悪いことがあっても、皆さんと一緒に戦うことは、私にとって栄誉だった。そのことを皆さんは知っている。皆さん方は、最善の教師、指導者でありつづけた。皆さんによって、我々の闘争が正しい道を歩みつづける。そのことを私は確信している。尊厳ある言葉をもったより善き存在である。そのことを皆さんは我々全員に示してきた。我々は風である。我々は戦いの中で死ぬことを恐れない。善き言葉はすでに善き大地に播かれている。その善き大地とは、皆さん方の心である。その心の中で、サパティスタの尊厳はすでに花開いている。

我々に同行するためにこられたEZLNの同志の皆さん、ありがとう。
「別のキャンペーン」の同志の皆さん。皆さんのために、12年前、1994年1月1日が始まったばかりの時間、斃れた一人の同志の思い出を持ちよりたい。彼は、EZLNの言葉が、老若男女、組織、コレクティボ、集団、EZLNに属していない人々によって分かち合える日がやって来ることを待ち望んでいた。彼の名前とともに、12年間の闘争の過程で斃れたすべての男女同志の記憶を私は思い出す。記憶を手繰り寄せ、叛乱副司令官ペドロ同志を称え、斃れたすべての同志のため、1分間の黙祷を捧げることを提起する。

　(1分間の黙祷)
同志の皆さん、ありがとう。

「別のキャンペーン」に加わった同志の皆さん。この場を借り、ここに我々と一緒にやって来られた皆さん方、ここにいないが、我々の国メキシコで着手した我々の運動の一員となっている同志に、ある出来事について説明したい。

我々が行進し、この街の大通りに到着した時のことである。我々が前進していくと、市の当局者者たちは主要道路の街灯を消していった。いつも、当局者はこのような対応をしている。上の世界にいる連中は、我々の周囲を暗闇に包みこもうとする。今、話題にしているのは、EZLNではない。我々の「別のキャンペーン」と第６宣言を支持したすべての人たちのことである。少しずつ、ゆっくりと、自分たちの歩みに注意しながら、我々は暗闇となった区間を進んできた。「別のキャンペーン」の開始として、実にふさわしいものである。だが、この行進の過程で、自然とやってくる瞬間がやってきたのである。新しい輝きによって、光がともされ、今やその光は煌々と輝いている。その新しい輝きとは、下の左側にいる人たちがお互いに持ち寄ることになる我々の闘争、我々の言葉によって、我々が持ち寄ることができたものである。

第6ラカンドン密林宣言が向けられた主な相手は、宣言発表の数ヵ月以内にそれを受領したと伝えてきた。メキシコを支配する強大な金の力は、反第6宣言ともいえる代物、公式にはそれが締結された場所の城の名前をとって「チャプルテペック協定」と呼ばれる文書に署名した。それに先だって、召集されたメキシコの政治家連中は、ベジャス・アルテス宮殿に参集し、間の抜けた奇妙な格好をひけらかした。我々のことについて連中がかってに決定できるようにするため、連中は我々がかかげた諸要求や闘争をすべて忘れ、自分たちに全力で奉仕するように、我々に求めている。この連中は、その場所、つまりメキシコという国の城や宮殿で、あらゆることを決定している。

「別のキャンペーン」と第６ラカンドン密林宣言は、我々の向かうべき目的地や方向がどのようなものかをはっきりと定めてきた。それは我々全員のものである。本日、2006年1月1日、「別のキャンペーン」に結集する諸勢力は、上の連中の傲慢と栄誉のシンボルであるサンクリストバル・デ・ラスカサス市を占拠し、自らのものとしたと宣言できる。

我々がとくに挨拶を送りたいのは、ラ・オルミーガ地区の先住民の仲間である。この地区の住民は、宗教面での信仰や実践が異なるという口実で、住んでいる共同体から追放されたひとたちである。サンクリストバル市当局は、彼らを市の周辺部に追いやった。この仲間たちは、我々、つまりサパティスタとともに、この大聖堂や宮殿を建設し、街や家を築いた。しかし、彼らがその家に入れなかった。通りも自由に歩けず、駄獣のように道の真ん中を歩かねばならなかった。

機械を動かし、大地に稔りをもたらさせ、サービスや製品をあらゆる場所に運んでいるが、最終的には何も手にすることのない人々のいる場所に出かけ、彼らと話し、聞き、合意する。そのことを第６宣言は提起している。我々は大規模な動員を展開するつもりはない。本日、キャンペーンを始めることになる。しかし、｢別のキャンペーン｣の同志の皆さん方、ならびに数日も歩いてこの都市に着いた人々、ここまで歩きこの場にいる数千人ものEZLNの老若男女に、我々はメッセージを送りたいと思う。今この場にいる皆さん方に次のことを伝えたい。
第６宣言、「別のキャンペーン」に結集している我々は、持っているものすべてを携えている。我々が少なくとも有しているものは生命であり、我々の道義的な権威、我々の特権、我々が前進させてきたものは、この呼びかけの中に盛り込まれている。これまで、我々が皆さんにした問いかけを、今一度、行ないたい。皆さんが「別のキャンペーン」のために準備しているものは、何なのですか？我々が聞きたいと思っている心と言葉があるにちがいない。そのことを我々は期待している。それは、他の人々の言葉を聞けるように協力していただくよう、我々がお願いしたものである。数千名の先住民を結集させることは簡単なように思える。善き統治評議会の支援によって、我々は動員できた。しかし、この場に参集せず村に留まっている人が何万にもいるのである。

同志の皆さん。
この場において、去年の７月19日以来、全面警戒態勢につき、我々の責務、つまり我々の仲間を防衛するため、起こりうるすべての事態に備えて、自らの陣地についている私の同志たち、戦闘員に、私は特別の挨拶を送りたい。低い体躯と目出し帽から垣間見える褐色の肌ではっきりと識別できこの数千名の男女は、大量動員される組織的な行事には参加できない。EZLNを誕生させ、構築するため、我々は彼らと話し合ってきた。彼らが働き、抑圧されていた現場で、我々は彼らの声を聞いていきた。大規模な集会、デモ行進の場ではなく、彼らの労働の場、人種差別主義、略奪、搾取、そしていくつもの顔を持つが資本主義という名称をもつ体制による蔑視などがはびこる場において、我々は意見を聞いてきた。

第6宣言と「別のキャンペーン」は、左翼と反資本主義という枠組みで自己規定するよう皆さん方に要請したことに関しては、きわめて明確な路線を定めてきた。それは、中道でも、穏健な中道でも、節度のある右翼でも、理性的で制度的な左翼でもなく、我々が主張してきたように左なのである。それは、心、未来、つまり、明日がある場所である。我々は現在までに第６宣言支持を表明し、｢別のキャンペーン｣を自分のものにしたすべての同志の皆さんに感謝したい。
今、この瞬間から、皆さんは我々の同志である。

もし、何らかの形で、我々がサパティスタであることを誇りに思うことがあるとするなら、我々が自分の同志たちに対して誠実でいることができた場合だろう。それゆえ、この第１段階では、我々の同志たちと語り合うことを最優先することになる。私がこのように表明するのは、多くの人が、大規模な動員、デモ行進が展開されることを期待しているからである。だが、多くの人が目撃することになるのは、ゼロ代表が、第６宣言や｢別のキャンペーン｣によって自己定義している人々と話し合い、彼らの言葉に耳を傾けている姿である。彼らが活動を続け、道義的・政治的権威を構築してきた農村や都市にいる労働者たちと話しあう方法を習得するのを手助けするよう、彼らに敬意をこめてお願いすることになる。

ここで念頭にあるのは、まだ自己定義できていないか、その定義では主張したいことの多くが漏れてしまっていると考えている左翼、共産主義、無政府主義、アナーキストといった政治組織、さらには文化集団やコレクティボ、代替メディア、非政府組織、女性・ホモセクシュアル・レスビアン・その他の異なっている人々の権利を擁護している諸組織のことである。異なっている人々とは、要するに 我々であり、足が不自由なとても特異な鶏、ペンギンちゃんでシンボル化しようとした者たちのことである。そのペンギンちゃんときたら、バイクに乗って来たため、気分が悪くなり、そこらをうろついているはずだ。

皆さん方に言っておきたい。我々が最優先したいのは、皆さんと同志になることである。皆さんのことをよく知り、我々のことをよく知ってもらうことである。我々の体験では、お互いに知り合うことで、尊敬の念が生まれるものである。我々同志はお互いに尊敬しあうべきである。

我々はすべての人に呼びかける。次に掲げる二つの担保とともに、第6宣言の支持者となってほしい。ひとつは、それがすぐに終了するものではなく、なんの見返りもないことである。もうひとつは、大きいか小さいか、赤か黒、あるいは白か、でぶか痩せかは分からないが、ひとつの場所を手に入れることになるということである。その場所がどのようなものであれ、我々は、｢別のキャンペーン｣の中でサパティスタとして、その空間を防衛することになる。なぜなら、そのために、我々は第6宣言を作成し、「別のキャンペーン」を開始したのである。

明日、このサンクリストバル市やチアパス高地における 第6宣言支持の人々、つまり「別のキャンペーン」の同志とともに、我々はサンクリストバルから出発する。その後、パレンケ、次にトゥストラ、トナラ、ウィシュトラ、さらにモイセス・ガンディーに赴く。そこでチアパス州での活動は終了し、ユカタン州とキンタナロー州が始まる。

適切な時機を見計らって、活動や我々がすべきことに関する情報は、皆さん方に提供することにしたい。皆さん方全員に、この第一段階の枠組みを十分に理解していただきたい。大規模な集会、円卓会議、出版発表会、有名な知識人や有力なメディアとの会見のなかで、我々の姿を眼にしたい。そのようなことを皆さん方が望まれていることはよく承知している。しかし、皆さんは理解するだろう。我々は、同志として理解しあうこと、この会場の後ろ側にいる人たち、あるいは、私が言っていることがたぶん聞こえない人たちと話し合い、意見に耳を傾けることを望んでいる。我々にとっては、そうした人たちの声が重要なのである。

同志の皆さん。「EZLN、ばんざい」ではなく、我々が同志として展開する「別のキャンペーン、ばんざい」と叫んで、1月1日の行事を終えるのは、今回が初めてである。
どうも、 ありがとう。