| ラカンドン密林のある場所で発表された20周年メッセージ |
| 2003年11月17日、20/10周年 |
自由、アルメンドロ、正義、新しい地平、農民という地域のEZLN支持基盤組織の同志、老若男女たち、地区や地域責任者、民兵、サパティスタ叛乱自治行政地区協議会、善き統治評議会、ツェルタル密林地区のCCRI司令官、サパティスタ歩兵部隊第３連隊の武装現役戦闘員と士官へ 仲間の皆さん。 今日、2003年11月17日、EZLNの誕生20年を記念し、われわれは祭りをしている。20年前、つまり1983年の今日と同じような日、3名の先住民と3名のメスティソという6名のメヒコ人からなる小さな集団がわれわれの組織の構築に着手した。今日、私の言葉を聴いている人の多くはまだ生まれていなかった。今日の祭りに参加している同志の大半は、その日のサパティスタの言葉を聴かなかった。だが、今では、チアパスの全渓谷、全行政地区、メヒコ共和国の全州、メヒコ国のすべての農村・都会、そして世界中で、サパティスタの言葉を聴くことができる。 だが20年前、誰もわれわれの戦いの言葉を聴くとは思われなかった。20年前、われわれの言葉はとても孤立し、善き道に実りをもたらさず、死ぬと思われた。だが歩み始めた当初から、この言葉に耳を傾ける人たちが存在していた。それは、メヒコ南東部の山中で生きながら、心と記憶を保っていたわれわれの死者、わもっとも古い先祖だった。われわれのもっとも偉大な父母は500年前から、メヒコのための民主主義、自由、正義を勝ち取るために戦う新しい言葉を聴けるという希望をもっていた。われわれの最も古い先祖は、われわれ大地の色をした男女、トウモロコシの男女、先住民の男女のための尊敬と尊厳を求めて戦う言葉の到着を心待ちにしていた。 この500年間、われわれ先住民は、軽蔑され、屈服させられ、虐待され、搾取されてきた。大農園主や統治者はわれわれを犬ころのように扱い、食卓の余りものを与えるだけで、われわれを足げにしてきた。われわれの生命は鶏以下の価値しかなかった。われわれ先住民は、自らの人生に一片の望みも見いだせなかった。われわれは、全国連帯計画（PRONASOL）、教育保健食糧計画(PROGRESA)、農地権認証計画(PROCEDE)といった金持ち連中の僅かばかりの施しが与えられることを期待するしかなかった。 われわれの人生は、死を待ちながら過ぎていた。われわれはもとからそのような状態におかれたことをよく知っていた。雀の涙ほどの信用貸しや援助を確保するための組織はなんとかできた。しかし、われわれは政府の信用貸しや援助を要請した組織の指導者をよく知っている。誰もが腐敗した連中で、口利き料を手に入れるためだけ協働を呼びかけた。口利き料にえることで、連中は人民のお金で酔っ払い、オコシンゴに立派な家を構えた。先住民は自分の生活を改善できないままだった。空腹、無知、病気、抑圧に苦しみ、日々を過ぎるのを眺めるだけだった。こうした事態が渓谷部で起きていた。そのことは誰もが知っていた。 メヒコ南東部の山中で、サパティスタの声は孤立していた。しかし、そのときである。われわれの古の人たち、すでに亡くなり、山で生きながら記憶をとどめているわれわれの先祖が、サパティスタの声を耳にしたのである。われわれの死者は、サパティスタの言葉はよい言葉で、彼らが示す道はよいののであることを理解した。そこで、われわれの死者は、サパティスタの言葉と話し合い、歴史を語った。サパティスタの言葉が、その歴史を心で受け止め、さらに大きなものにするためである。 そこでわれわれの最も古い父や母たちは言った。男や女たちが恐怖を抱いて暮らしていた時代はとても長く続いた。これらの男と女たちの心は、とても悲しく泣いた。だから祭りなどなく、楽しいこともなかった。男や女たちの心と歩みを楽しいものにするための音楽や踊りもなかった。そして、その時代には昼がなく、すべての時間が夜であり、いつも薄暗いという状態が続いた。だから、男や女たちの心には恐怖と悲しみが居坐っていた。 しかし、ごく少数の男と女が地平線のはるかかなたにとても大ききく陽気な光があることを耳にしていた。そこでこの男や女たちは、この光を持ってくるために出かけることにすると言った。その場所ははるかかなただが、どれだけ歩くことになろうと、雨に濡れたり汗まみれになろうと、空腹や病気に苛まされようと、途中で死ぬことになろうと、たいした問題ではないと、彼らは言った。苦労は厭わないので、彼らは歩きはじめた。 やっと、彼らは光がある場所に到達した。その光がとても大きく陽気であり、音楽で充たされていることがたしかであることを知った。こうして、彼らの心は満たされた、好きなような踊りはじめた。だが、彼らは、かなたにある自分たちの村では、ほかの男や女たちが悲しみにくれ、絶望のどん底の状態でいることをすぐに思い出した。そこで、この光を自分たちの村に持ち帰らなければならないと言った。その理由は、誰もが陽気になり満足し、音楽を聞いたり歌ったり、よい考えで踊ったり働いたりできるからだった。このように、その男や女たちは言った。 しかし、彼らが運ぼうとした光はとても大きく重いことに気づいた。その光を押そうとしたが、とても重くてできなかった。次に、皆で担ごうとしたが、やはり重すぎてできなかった。彼らは、巨大な光を運ぶことができるメカパルが必要だと言いだした。だが、光が大きく重いので、どんなメカパルも使えないことがわかった。どんなメカパルに入れようと、壊れてしまった。そこで、特別なメカパルを作るべきだと言いだしたが、作り方がわからなかった。 そこで、村の男と女全員に援助を要請しようという考えを思いついた。そこで村に戻り、すべての男や女たちと会合を開いった。そして、皆がどのように考えているか、どのような合意ができるかを知るために、その計画について説明した。 村の集会で、そんな計画は無駄という人たちがいた。大変な労力を要するので、悲しみと恐怖があってもそのままでいる方がよいという意見だった。当然ながら、彼らは、広い範囲を照らし、陽気で音楽がある光を運搬するために出かける計画を受け入れなかった。 しかし、村の集会で、別の人たちはその計画がいいと言った。どんなに苦労があろうとそれは気にならない。昔から、無駄な苦労ばかりを重ねたのだから、悲しみだけで苦しむよりも、希望をもって苦しむ方がましであると言った。 こうして、合意に達した男と女たちはいっしょになって、巨大な光がある場所に出かけた。一方、光を運搬するのを手伝いたくなかったので村に残っていた人たちは、出かけた人たちのことを馬鹿にしだした。そして、そんな仕事をするために出かけても無駄だし、光を運搬できないと言った。彼らは怠け者だったし、光を運搬するために出かけた人たちの意気を挫くため、とてもひどい言葉ばかりを発した。しかし、光を運搬しに出かけた人たちは挫けず、空腹や苦労を克服して10年も続くことになる道を歩みつづけた。光がなかったため、彼らはいつも夜中に歩いたのである。 ついに、彼らは巨大で重い光がある場所に到達し、とてつもなく重いこの光を運ぶにはどうすべきか、全員で考えた。そして、このとてつもなく重い光を運ぶため、巨大なメカパルを作ることを考えた。そして、自分たち自身がメカパルになることを思いついたのである。こうして全員が手を繋ぎ、男と女たちはメカパルの形になり、光をしっかり捉まえると、徐々に村まで運びはじめたのである。 これらの男や女たちはよい言葉をもっており、その言葉を実践したのである。光を村に運ぶまでの道中で亡くなった人もいる。しかし、彼らが望んだように、彼らは、光とともに村に到着した。その光といっしょに音楽や踊りもやってきた。彼らに反対し悪く言っていた人たちも満足していた。なぜなら、光があり、音楽と踊りがあったからである。誰もが踊り、歌いだした。光を運んできた男や女たちは満足していた。なぜなら光を運んだからである。悪口をいっていた人たちは、ほかの人たちが言ったことが正しかったことがわかったので、気恥ずかしくなっていた。 こうして、山の中で考えを生かしつづけるわれわれのもっとも古い父母は、こうしたことが起きたのはずいぶん昔で、そのとても大きく重い光は太陽と呼ばれたと言った。山の中に心をもっているわれわれの死者は、夜になると東の空に、ひとつの青色の星が見えるが、この星は太陽を引っぱる星であり、われわれに翌日も太陽が昇ることを告げていると言った。われわれのもっとも古い老人、つまり父母は、その星は、大昔、ずいぶん遠くまで出かけ、皆のために太陽を運んできた人たちのシンボルだと言った。 さらに、サパティスタの言葉は光を担ぎ、村に運ぶためのメカパルのようになるべきであると言った。われわれのいちばん古い父母、心や考えをメヒコ南東部の山中に植え付けながら育んできた人たちはこのようなことを言った。 われわれが進んで20年前にサパティスタになったのはこのようなことがあったからである。それは、先住民の男と女たちのための戦いの言葉としてわれわれが誕生した最初のときである。 私の言葉を聴いている同志の誰もが、われわれの歴史がこのようなものであったことを知っている。戦わなければならないときに、戦いが無意味であり、多大の労力がいるだけで、何も獲得できずに終わると言う人がいることをわれわれは知っている。しかし、戦うべきだと主張する人がいることもよく知っている。多くの労力が必要となり、戦いは容易でないが、金持ちや政府の施しを待ちながら無駄に人生を過ごすのを眺めながら無為でいるよりは、戦うほうがいいと彼らは主張している。 われわれの誰もが、われわれのサパティスタ賛歌が次のように歌っていることをよく知っている。「もう、地平線は見えている」、つまり、世界のすべての男女に喜び、音楽、踊りがあるように、すべての人民に光をもたらすため、われわれは光を担いでいるのである。
今日、われわれはEZLN創設20周年を迎えている。そこで、戦闘で斃れた何人かの同志、そしてこの地域のツェルタル先住民の同志の思い出を語ることにしたい。 ひとりは歩兵部隊中尉の戦闘員ラファエルである。彼の本名はヘスス・モレノ・エルナンデス、ラ・ルーチャの生まれだった。彼は、1993年5月、この山中で起きたゴラルチャンの戦闘で、連邦政府軍との戦闘で戦いながら死んだ。その戦闘はわれわれが連邦政府軍と戦った最初の戦いで、われわれは政府軍を撃退した。 次に記憶の糸を手繰り寄せたいのは、同志ウーゴ、「セニョール・イクッ」で、本名はフランシスコ・ゴメスである。彼はラ・スルタナの出身で、この地区のCCRI司令官だった。ウーゴ司令官は1994年1月のオコシンゴの戦闘で戦いながら斃れた。 さらに皆さんの中にもご存知の人がいる同志、叛乱副司令官ペドロも思い出したい。彼は1994年1月のラス・マルガリータスの戦闘で戦いながら斃れた。 今言及した斃れた同志の思い出とともに、この20年間で斃れたわれわれのすべての同志を思い出す。これらの同志全員が夜空に見える青い星となり、太陽が到来することを告げている。戦いが前進し、現在、われわれが以前もたなかったものを数多くもてるようになったのは、これらの同志が流した血、われわれ人民と支持基盤組織の組織された抵抗のおかげである。 だが、同志たちよ、はっきりと言っておきたい。われわれの責務はまだ終わっていない。メヒコのすべてのインディオ人民、われわれの国のすべての労働者や農民、老若男女に光をもたらすための道はまだ完成していない。われわれサパティスタは、われわれ全員が民主主義、自由、正義を手にするまで、立ち止まることはない。 同志の皆さん。 われわれの誰もが、現在のわれわれの最も重要な武器は抵抗であることを知っている。しかも、この抵抗を現在実践しているのは、組織されたわれわれ人民の支持基盤組織であることをよく知っている。支持基盤組織の同志は苦難に直面しているが、戦いのなかで強く団結し、快活で満足している。なぜならわれわれが担っている戦いがすべての人にとってよき道であることを知っているからである。 われわれEZLNは組織として、われわれ人民の抵抗をどのように支援するかを見極めなければならない。それゆえ、われわれは叛乱自治行政地区と善き統治評議会を通じて前進し、われわれ人民の健康や教育の計画でも前進を勝ち取ってきた。しかし、まだ足りないものが多くある。そこで、EZLN部隊の軍事指導者としての私の責任において、本日、以下の指令を発表する。 本日以降、われわれの組織のメンバー、あるいは戦っているものに、現金であれ現物であれ、強制的な協働を要求することを禁止する。誰も、現金や現物を提供するよう強制されることはない。トスターダ、米、フリホール豆、石鹸、あるいは何かで支援しようとする人がいるなら、われわれはとても喜んで受け取る。しかし、誰もそうすることを強制されはしない。より明確にするため、言い直そう。サパティスタであるためには、誰かに何かを納めなければならないことはない。サパティスタであるために、現金支払いや協力の強制が発覚した場合、叛乱士官、責任者、自治協議会、委員会は職務を解任され、収監され、人民からの窃盗罪で処罰される。 サパティスタであるためには、抵抗を堅持すること、支持基盤組織の共同作業であれ、民兵、責任者、委員会としての作業であれ、戦いに必要な作業をまっとうすることが必要なのである。さらに、集落や行政地区で民主的に選出された当局者を尊重しなければならない。サパティスタであるためには、インディオ民族、そしてメヒコ人としてのわれわれの権利を獲得するために、必要とあれば死ぬまで、戦う準備ができていることが不可欠である。 仲間の皆さん。 われわれが展開してきたこれまでの戦いのなかで、我慢できず、怖気ついた同志、つまり組織化の作業をまっとうできなかった同志、そうするほうがよくなると考え、去っていった同志が存在したのは事実である。しかし、現在では、事態がそうなっていないことをわれわれはよく知っている。今や、組織を去った人がわれわれより恵まれない生活をしていることをわれわれは知っている。まったく逆の状態で、以前より劣悪な生活を送っていることを知っている。 こうした同志のなかには、後悔し、戦いの戦列に戻りたいと考えている人もいる。そこでこれらの同志に言っておきたい。皆さんはわれわれEZLNに再加入したいなら、そのことをはっきり言明すべきである。そのような言明があれば、われわれの同志である司令官は、彼らが重大な犯罪を犯しているか、ひどい悪事を働いているかを調査する。そして、重大な過誤がなければ、われわれは喜んで受け入れるだろう。罰金を徴収することはないし、懲罰を科すこともない。托された作業を実行することを約束することが要請される。そうすれば、彼らはふたたびわれわれの同志となるのである。 仲間の皆さん 今日は、EZLNとしての誕生日でもある。そこで、私は、CCRIとして、もう少し言っておきたい。それが私の責務である。 EZLN支持基盤組織の同志を祝福する。彼らは不屈の闘志で抵抗と叛乱を継続し、生活を改善するため人民の組織化を前進させている。
|